マネージャのいない組織に進化する現実と幻想

http://firstround.com/article/how-medium-is-building-a-new-kind-of-company-with-no-managers

1 comment | 3 points | by WazanovaNews 2年弱前 edited


Jshiike 2年弱前 edited | ▲upvoteする | link

マネージャのいない組織へのチャレンジについては、一昨年から話題になっていますが、ここにきてかなり論点が絞られてきていると思います。

1) 非同期 & 可視化が進む

  • GitHubなどのツールに親しむエンジニアが、進捗が可視化され、非同期で仕事を進めることに先に慣れてきたが、SlackのようなコミュニケーションツールやTrelloなどのタスク管理ツールの浸透で、非エンジニアにもじわじわその理解が進んでいく。

2) マネージャの役割が変わる

  • 上記1) が進むことで、進捗を報告させて情報を集約、また逆に、全社 / 業界の情報をフィルタリングして伝えるという、情報操作ハブとしてのマネージャの役割はかなり減る。情報の透明性があがることで、情報を握っていることがマネージャのパワーの源泉である時代が終わる。
  • プロジェクトの進捗 / 開発のクオリティ / 売上 / 評価とフィードバック / メンバの士気の向上 / メンター / キャリア相談 / チーム編成 & 異動 / 採用 / (米国だと) 解雇など、多岐にわたっていたマネージャの役割は、今後は分散化していく。分散化しない決断をした組織においても、少なくとも役割の質は変わっていく。
    • Spotifyのエンジニア組織には、プロダクトをデリバーする責任をもつProduct Owner、チームメンバの目標設定 & マネッジしプロダクトのアーキテクチャを担保するTeam Lead、チーム内の協調/エンジニアの成長につながるような環境づくりをするAgile Coachがいる。[1]
    • Mediumでは、Domain Leadにアサインされたシニアなメンバが、メンターとなり、メンバへのフィードバックを行うが、採用と解雇の権限も持つ。プロジェクト / タスクではなく、人に責任を持つという役割。[2]
    • GitHub上の各レポジトリでの開発の進捗をリードしている人が、組織のマネージャだとは限らないのは、多くの会社で既によくあるケースだと思われる。

3) マネージャという生き物は絶滅しない

  • Googleのように、マネージャ制を撤廃した後に元に戻した事例があるように、組織がある限りは何らかの役割について取りまとめる人が必要になる。[3] それが全権をもったマネージャでなく、役割が変わり、かつ分散化し、数が減り、適さない人がその役割を担うケースが減り、そしてしばしば名称が変更になることがあるが、絶滅はしない。
  • 1) の効果として階級構造が減る傾向にはなるが、本当にフラットな組織にはならない。フラットに近づくだけである。もしくは、フラットではないが、フラットになったつもりで皆が高い意識での責任感を持とうという心の持ちかたの話である。
  • 競争力のある会社は、メンバの自主性を活かし、モチベーションの高い組織を運営している。自主性がパフォーマンスをあげるという考え方は更に浸透していく。とはいえ、自主性を活かせる範囲が広がっても、全社の方針などでの調整が必要なケースはでてきて、その役割をマネージャが担うことになる。
    • TreeHouseは社員によるタスクの提案 & 投票 & 自分で担当を決めるという、完全に自主的な仕事を進め方を目指したが、「経営陣から共有される経営方針に沿って」という前提があるし、「必要だけど誰も手をあげないタスクを誰かにアサインする」ということはしている。[4]
    • Valveは、高収益かつフラットで自主的な仕事ぶりで有名ですが、必要なチェック & バランスが働かない副作用はあるとの発言もある。 [5]
    • Netflixも、「仕事はかけた時間でなく成果であるので時間管理はしない、年休の管理もしない。」「会社経費の使用はルールで縛るのではなく、最悪自腹を切ってでも仕事に必要だと思うかとという質問に自分で答えて判断する。」[6] としても、大人として振舞う常識の範囲を超えるとなれば、指導はされる。[7]

4) 進化が遅いのではなく、全員一律が時代にそぐわない

もっと自主的に仕事したいという不満と、ダメな上司にあたってしまった不幸を恨む力にも後押しされて、マネージャ不要論とまではいかなくても、マネージャのスリム化 & 分散化はそこそこ進んでいくでしょう。また、1) の傾向であれば、リモートワークが増えていくことも期待したくなります。しかし、右肩上がりにどんどん進化していく気もしません。

抵抗勢力がいるからか?それもそうですが、それよりも、世の中の関心は人それぞれ様々で、1) のような仕事の進め方やコミュニケーションの進化で管理コストが全体で減るならば、その工数を、もっと個別のメンバの期待に応えることが求められてるのかもしれません。個々人の関心が違えば、全体の変化の傾向は単に総計したデータの結果であり、それがフラットになってきているとか、リモートワークが進んでいるとか評価するのはあまり意味がなく、大切なのは、一人一人が自分のあるべき方向に近づいているか実感できるかというところだと思います。

MediumのJason Stirmanは自らの経験から、

マネージャとして、何がそのメンバのモチベーションを高めるのかを見極める。チームを見回して、「みんな相当頑張ってるから、昇給しなくてはいけないな。」というマネージャもいるが、それが各人にとってベストなインセンティブだとは限らない。」

と語っています。彼が参考にしている、”Your Brain at Work”のSCARF分類例は、

  • ステータス重視のタイプ: 自身の肩書きや、重要なプロジェクトに名前が載るかが重要。
  • 確実さ重視のタイプ: 自分のタスクが全体にとって大切であり、うまく進んでいると太鼓判を押してもらうと安心できる。
  • 自主性重視のタイプ: リモートワークや、仕事中にヘッドフォンをつけて集中してよいかという自主性を重んじる。
  • 関係性重視のタイプ: 飲み会や皆んなでのスポーツなど、メンバとつながっていることを実感できる機会にモチベーションがあがる。
  • 公平性重視のタイプ: 仕事の環境や条件は皆公平で、誰もごまかされたりしていないかが重要。かつ、それをしばしば確認したくなる。

マネージャは、情報操作ハブから早く脱し、メンバの個別のモチベーションをサポートする役割にもっと進化するのが求められている時代。「人をよく理解する」というのは昔から重要ですが、組織運営の中では、全員一律論、右に倣え的な雰囲気の中で、霞んでいたのも否めません。「キャリアの点と線」でも触れた、メンバの「なりたい自分像」を把握する試みも、これからはあるべきという意味で、同じ個別サポートの延長線上の話かと。

[1] http://wazanova.jp/post/62296563955/devops-spotify

[2] http://firstround.com/article/how-medium-is-building-a-new-kind-of-company-with-no-managers

[3] https://news.ycombinator.com/item?id=9000328

[4] http://wazanova.jp/post/66337466350/treehouse

[5] http://www.gamasutra.com/view/news/195786/ExValve_hardware_expert_shares_uncommon_look_inside_the_company.php

[6] http://wazanova.jp/post/63021846567/netflix-culture-freedom-responsibility-1

[7] どこかで読んだのですが出典を忘れました。すみません。。


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