インキュベーションへの違和感と繰り返しトライすることの超高速化

https://www.youtube.com/watch?v=aWQUSiOZ0x8

1 comment | 1 point | by WazanovaNews 約3年前 edited


Jshiike 約3年前 edited | ▲upvoteする | link

インキュベーションという言葉にはあまりポジティブな印象をもってませんでした。(tl;dr だけど認識変わりましたという話。)

一人の人間が一生のうちにFacebook的な大成功を二回おさめることは宝くじよりも難しいので、ある意味、どんな高名な人のアドバイスも外れるということ。役に立つアドバイスはあるが、インキュベーションが成功に結びつくわけではないのではと言ったほうが正確でしょうか。

と偉そうなことを言っておきながら、そもそも、アドバイスでさえ自分で実際にやろうとするとけっこう難しい。この場合のアドバイスというのは、同僚への気軽なアドバイスでなく、本当に成功してほしいと思って真剣にアドバイスしようと思った時の話です。

自分で意思決定をする場合、100%ロジカルに判断できるほどは材料がないことがままありますが、自分で成功すると強く信じて、かつ間違っていると気づくと、こだわらずにすぐ気持ちを切り替えて次の仮説に取組むとすれば、割と迷わず前に進めます。

一方、アドバイスは間違うことがある(特に相手と同レベルの背景/文脈の理解ができてないと、的外れになる可能性もある。)と考えると、自分のときほどすっきり決めるのはかなり躊躇します。なるべく思いつく限りの選択肢とそれぞれのメリット/デメリットを提示。自分ならどうするという意見は言いますが、他の選択肢を取ることが誤りというわけではなく、その人なりの考えぬいた意思決定をしてほしいと願います。

そもそも成功する可能性のある人が、正しい判断ができるような情報を提供する。つまり、近道を通ることができるようにしてあげるというのが、できることの限界かもしれません。

そういうものだとわかっても、まだインキュベーションという言葉がすっきりしなかったのは、冒頭に言った通り、アドバイスもかなり間違うということへのひっかかり。アドバイザーが間違うに掛けることの、本人も間違うということの相乗は、事業を本質的に成功させるようなサービスのブラッシュアップには結びつかないのではないかと。要するにそこは本人の自助努力かと。(もちろん、投資家とのつながりがもてますし、実務的なやり方で知らなかったことを周りを参考に学べるので、インキュベーションの機会を得ることは、プラスには必ずなるでしょうが。)

Ben Horowitzは、A16Zをつくる際に、自分がCEOを勤めたOpsware社から幹部をかなり連れてきています。投資事業を生業とするベンチャーキャピタルに、営業 / マーケティング / CFOなどからはじまり、CEOアドバイザーまで連れてきて、ポートフォリオ企業の実務をしっかりアドバイスできる体制を構築しています。また、他のベンチャーキャピタルも見習って、体制は強化していて、一時期はデータサイエンティストでしたが、最近はデザイン関連の人材の囲い込みが熱いですね。素晴らしい動きだと思いますが、まだこれでも「人は間違える」に対する解がありません。

さて、また長くなりましたが、ここまでが前置き。

Google I/Oで紹介されていたGoogle Venturesの取組みでインキュベーションのあるべき姿が見えて、かなり気持ちがすっきりしました。

同社は、ポートフォリオ企業のプロトタイプづくりを支援するデザインスプリントを、既に80社以上に対して実際しています。例で挙げられている、Blue Bottle Coffee社のコーヒー豆を売るコマースサイトの立上げの場合、

  • 一週間のプロジェクト。月曜日にスタートした時点で、金曜日のユーザインタービューをアレンジしておき、強制的に金曜日までに成果物を用意しなくてはいけない状況にする。
  • ステークホルダーは全員参加。Blue Bottle Coffeeの場合、エンジニアとデザイナーだけでなく、CEO / COO / CFO / マーケ、及びGoogle Venturesのパートナー / デザイナーが出席。
  • サイトにおける、基本のユーザーフローおよびそのコンセプトは、参加者全員が、それぞれ個別に丸1日かけて自分の案を考え、手書きでまとめる。
  • 全員の案を壁に張り、よいと思うポイントにシールを貼って投票する。
  • 木曜日の段階で決まった三つのアイデアをKeynoteなどでプロトタイプにし、金曜日に5人のユーザインタビューを実施。インタビューは個別で、かつユーザが画面を操作する様子は全て録画される。

まず関心したポイントは、ユーザフロー案を各人が考えているところ。よくあるのが、担当者がコンセプトや画面遷移案を一人で考えて、前後関係の文脈をよく理解してない者を含めたメンバでインプットしてしまうパターン。また、理解度の異なるメンバで、ブレストしながら案をつくることもあるかもしれません。それよりも、全員が一度、ユーザフローをトータルで矛盾なく考えた後に集まるので、相当頭の中が整理された議論や判断ができると思います。

次に良かったのは、投票のプロセス。青いシールは数の制限はなし。コンセプト案だけではなく、画面イメージの中の特定のアイデアにも貼られます。数が制限された赤のシールは、一番のステークホルダであるCEOとCOO用。(どのように重み付けされてるかは不明。)全員でブレストして、何となく声の大きい人の意見で決まるよりも、皆の考えが可視化される方式です。

しかし、一番のポイントは、最後の3案に入ったGoogle Venturesのパートナーの提案が、翌日のユーザインタビューですぐに否決されたこと。その案の内容が悪いのではなく、誰の意見であれ、素晴らしい内容であれ、ユーザに受け入れられないものを、短時間に棄却することができる仕組みができています。

"Design matters. Speed matters." (デザインは重要で、スピードがものを言う。)

という言葉で彼らは紹介していますが、自分としては、アドバイスは間違うという可能性を、トライ & エラーのスピードアップでカバーするというやり方が、すごく腹落ちしました。

また、Netflixがブログで、A/Bテストのシステムについて紹介しています。

スライドの情報だけなので、A/Bテストの結果からどうやって意思決定しているかまでは不明ですが、

  • 7回のテストで、2,097,152通りのユニークなパターン。
  • 年に数百件の新たなA/Bテストを実施。
  • テンプレ: 2,105、CSS: 566、JavaScript: 685
  • プッシュサイクル毎に、250万個のユニークなCSS/JavaScriptのパッケージ

という数値を見る限りは、相当の量とスピードでA/Bテストをしているがわかります。「迷った二案をA/Bテストをして比較検討してみよう。」という従来のレベルからすると、試行錯誤の回数は桁違いです。

このGoogle VenturesやNetflixなどの事例を参考に、高速にトライ & エラーができる環境を提供もしくはサポートできるベンチャーキャピタルやサービス事業者があらわれてくれば、人間は間違うという避けられないリスクを、スピードと回数でカバーできます。トライアンドエラーの回数の最大化および超高速化が、あるべき姿だと見えてきたので、自分の「インキュベーション」という言葉に対するすっきりしなささも解消できました。

#googleventures #netflix

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