給与を上げるベストな仕組みの解がない

https://saastr.quora.com/By-The-Time-You-Give-Them-a-Raise-They%E2%80%99re-Already-Out-The-Door

2 comments | 3 points | by WazanovaNews 3年弱前 edited


Jshiike 3年弱前 edited | ▲upvoteする | link

1) 意義のあるチャレンジングな仕事をすること、2) 刺激をもらえる優秀な仲間と仕事ができることは、3) 高い給与をもらえることよりも優先度が高いという意見に100%賛同していますが、今日は1) 2)のことはさておき、3) の給与、特に昇給の話しをしたいと思います。

原文 は、EchoSignのFounderであったJason M. Lemkinが、優秀なメンバに会社に残ってもらうために心がけていたことを紹介しています。

#1. By The Time You Give Them a Raise, It’s Too Late. They’re Already Out the Door. (昇給をしようと思ったときはもう遅い。優秀なメンバは別の会社のオファーをもう受けている。)

#4. Find a Growth Path for Everyone, Especially the Great Ones.(皆に成長できる道筋を示してあげること。特に優秀なメンバには。)

#5. Talk to People. For Real. Get Real Feedback. At least Once a Quarter. (実際にメンバと話しをすること。フィードバックをもらうこと、少なくとも四半期に1回は。)

給与は高いにこしたことはないですし、人生でどうしてもお金が必要ときはありますし、たくさんもらえるのであれば常にうれしいのですが、転職先を決めたときには、既にそれ以外の理由も含め総合的に判断してしまっているので、「給与が不満ならば昇給するよ。」と言われて翻意する人はほとんどいないと思います。自分が米国の組織をみているときに気をつけていたのは、成果をだしているメンバにタイミングよく昇給すること。四半期/半年/1年とかいう定期的なタイミングでなく、成長しているメンバを見いだして、短いマイルストーンを達成したときに昇給をすること。公表をしなくても人の口には戸を立てられないので、皆に話しは伝わるという前提でいくと、さすがにマイルストーンの達成を待たないと納得感がだせません。そこで手遅れになるリスクはありますが、それは仕方なしとしていました。また、昇給の絶対額よりも、タイミングよくオファーすることの効果のほうが大きいと思います。

ここで解が見いだせていないことの一つに、キャッシュフロー以上の予算を人件費にあてられないので、全員にタイミングよく昇給のオファーをするのが不可能なことがあります。前職との給与の絡みで、社内バランスからして昇給できる幅がない人、そこそこ頑張ってる人に期待に応えられるだけの昇給ができないなど、万全なケアができません。「だから会社は売上を伸ばさなくてはいけない。」というのが真ですが、そのペースが追いついてないと常に心苦しい結果になります。

もう一つは、社内資格制度に基づいた年1回/2回の定期昇給制度への違和感です。勤続年数と社内資格の相関は中長期的には下がっていく企業が多いとは思いますが、そうだとしても、特にネット企業のようにプロダクトサイクルが早いと、職種によって成果をだせる期間の長短が極端に変わってくると思います。その分布度合いが広がると、偶然ぴったり平均のタイミングになる職種 or タスク以外の人は、全員満足しない制度になってしまいます。当然予想される反論は、「人数が多い会社は定期昇給制度以外に方法ないじゃない?」です。定期的な制度を残しても、非定期に昇給させることができる制度は採用してみてはどうでしょうか。

Netflixのように「当該職種の業界最高給与をNetflixの業績に関係なく保証する。」とまで割り切った制度にすると矛盾を払拭できますが、実際に金がない企業には無理。自分が投資の担当をしていたときに、実際にあった企業の事例は、「次の資金調達でxx億円以上調達できるまでは、給与額を70%にする。」という雇用契約を結んでいる事例もありました。給与レベルがかなり高い社員の場合は割引率がもっと高く、その代わりストックオプションの付与数を増やすことで調整してました。しかしこれも、資金調達を達成した瞬間以降はまた同じ問題を抱えることになるので、正答ではありません。

メンバの給与をあげられるかどうかは、矛盾をかかえながら、できるだけのことをやるしかない、解のない仕事だと思ってます。

ちょっと話題は移りますが、ネット業界であれば、5年サイクルくらいでテクノロジーが変わりますし、テクノロジーが入れ替わるので市場にあるプロダクトも入れ替わる。それにともない強い企業も相当数入れ替わるという前提になります。とすると、実力 and/or 運で成長できるような仕事のチャンスを与えられると、会社の舵を取る立場になるのに10年はかからないと思います。また専門性のある職種も、数年たてば、しっかり後輩が理解し引継げるので、長く勤めていることのバリューは相対的に低くなります。(「人にノウハウを伝えないで、自分のバリューを相対的に高く維持し会社に居座る」という作戦はありえますが、健全でなく本質的でないので、ここでは議論から除外します。)個人的には「形式的には形式上は65歳定年だが、貢献度が相対的に下がりはじめるいう意味では、実質は平均35歳から立場は微妙になりうる。」と思います。

それが世の中の流れならばどうするか。昇給というのが、未来も解のない存在であること、つまり企業が全員を満足させられないことなら、「平均」というのがポイントで、自分で成長しつづけられるように努力を続けることで平均を大きく超えること。産業のデジタル化が進めば、ネット企業以外にもあてはまるようになります。「働かなくても居座れる人」には不満でも、ダーウィンの進化論に従い淘汰されると信じて、給与をあげるために、自分の歩みを止めないようにしましょう。


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#組織 #働き方

「昇給ロジックの難しさ」と「経験という価値が相対的に下がっていく傾向」について、簡単に解決できる方法は思いつきませんが、「地域の経済価値の総和を大きくして、自然に全体の平均給与があがるようにする。」というのが目指すべき方向かなと思います。

シリコンバレーのエンジニア職という、まれにみる特殊な環境では、ジョブセキュリティと平均給与が高いのは事実かと。スタートアップ企業で働く人の比率が高いので、勤めている会社がなくなるのは日常茶飯事でも、次のスタートアップがいくらでもあるので、スキルがあれば職に困らない。給与も$150K (1500万円くらい) もらえるのはそれほど珍しいことではない。(天引きされる率がかなり高いのと生活コストが高いので、手取り的な価値は実はそれほどないんですが、ひとまず、それはさておき。)

どうして好循環が生まれるのかというと、ある先輩の説が、「結局、exit(上場 / 企業売却したときの益)の規模が桁違いに大きいから。儲かった人が、世界一周旅行しても使いきれる額でないから、それがスタートアップ投資に向かうから。」それはそうだなと思いました。

グローバルで競争力のある付加価値の高いプロダクトをだせる会社の数を増やして、経済価値の総和を大きくして、exit額が大きくなるポジティブなサイクルをまわすことを目指す。既存企業は業界構造で儲けるのではなく、付加価値の高いプロダクトで本質的に儲けるようにする。個人は新しい時代でバリューが下がらないように努力する。長く勤務して歯車としてのバリューがあがらなくなるよりは、スタートアップに参加して、世の中に新しい付加価値を提供する側にまわる。起業数を急増させて、ポジションの総数を増やすことで、間接的にジョブセキュリティをあげる。起業数が急増しても、成果が見えるまではリスクを取ったアーリーステージ投資は比例しては増えないので、起業家向けの国の超低利超長期融資を充実してもらう(2回挑戦できるくらい借りれると嬉しい。)。exitした投資家/起業家は、税率優遇されるのではなく、スタートアップ投資 or 寄付をしないと税金をがっぽり取られる制度にする。

というのはどうでしょうか?

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